子供の習い事バイオリンとピアノをどっちが良い?

お子様の習い事探しで「音楽系の習い事は小さいうちから始めさせておきたい」とお考えの親御さんは多いです。

 

実際生徒さんに聞いてみると、語学系、スポーツ系、音楽系を1つずつ習っていらっしゃる方が多い印象。

 

『音楽系』とひとことで言っても、ピアノやバイオリンなど楽器が色々あり、ピアノなど大型な楽器などはおうちの住宅事情も考えなければなりません。

 

音楽系の楽器を習うことの共通認識として、「家での反復練習が必須」ということがあげられます。

 

家で音が出せる環境なのか、練習時間を確保できるのか…という点もご家族で十分話し合いをして音楽系の習いごとを始めるようにおすすめします。

バイオリンとピアノのどっちを習うべき?

バイオリンか、ピアノか、どっちかをひとつ選ぶとしたら、「お子さんの興味のある方」と答えます。

 

子どもは今日はバイオリンがしたい、明日になったらやっぱりピアノがしたい…と気まぐれです(笑)。なので親御さんが何度もたずねてはいけません。

 

「やりたい」と言った瞬間に体験レッスンを受講してみてください。

 

もし親御さんがすでにやらせたい楽器を心に決めているのであれば、そちらの楽器の体験レッスンから受講してください。

 

子どもは1つ目に体験した楽器に心を奪われる可能性が高いです。(経験上のカンなので、なんの根拠もありません!)

 

多くの音楽教室は体験レッスンを1講座無料で受講できることが多いです。

 

実際に触ったり楽器のサイズ感や音量を感じてみることで、ピアノを購入して家に置く部屋があるかな、バイオリンって身長に合わせて買い替える必要があるのか、と現実的に考えることができたりします。

バイオリンを選ぶメリット

バイオリンかピアノかで迷われる親御さんに向けた『バイオリンを選ぶメリット』をお伝えします。

 

まずバイオリンはピアノより小型です。特に幼少期の頃のサイズはテニスラケットよりも小さくて持ち運びも楽で家でも場所を取らず練習が可能です。

 

音量もピアノに比べればとても小さいので、住宅環境に左右されることなく練習ができます。(当たり前のことですが家で練習される方は、最低限のマナーを守って練習をするようにしてください。)

 

また、発表会ではバイオリンは自分の楽器で演奏することができます。

 

逆にピアノは会場の楽器で演奏することになるので、初めて触る楽器で演奏します。

 

控室では、バイオリンの方は本番直前ギリギリまで音出しをして演奏していますが、ピアノの方はリハーサル時間が終わると本番の演奏までの待ち時間、ご自分の手を眺めてじっと過ごされている光景をよく見ます。

 

どちらが良いということはありませんが、バイオリンを弾く身としては、「ピアノの方は本番違う楽器を一発勝負で演奏されるなんでスゴイ!」といつも感心しています。

 

 

親御さんからのご質問で「バイオリンの方が絶対音感が付きやすいと聞いたのですが…」というのがあります。

 

バイオリンは楽器の特性上、自分で音程を作ります。その反復練習により、耳が鍛えられて年月が経過するとともに自然に身についていることが多くあります。

 

バイオリンに限らず、ピアノでも絶対音感を習得できます。絶対音感の習得は、楽器によるということではなく、始める時期が重要です。

ピアノを選ぶメリット

ピアノはたくさんの音を奏でることができて、一人でハーモニーを奏でることが可能です。

 

バイオリンはト音記号の1段譜面で単旋律ですが、ピアノはト音記号とヘ音記号の2段譜面で和声進行を感じながら演奏ができ、スケールの大きな演奏ができます。

 

幼少期から両手を動かすことで脳の働きにも良いと言われます。集中力や暗記力、音感やリズム感などはピアノに限らず他の楽器でも身につく能力になります。

 

将来、音楽系の学校に進学する場合すべての基礎になるのがピアノです。

 

住宅環境がゆるすのであれば、電子ピアノではなくアップライトピアノをおすすめします。(ピアノに関しては専門分野ではないのでピアノの先生にご質問してください。)

 

バイオリンは成長に伴って楽器のサイズが変わりその都度買い替えが必要になりますが、アップライトピアノははじめにご準備されたら買い替えることがありません。

 

調律などの定期的なメンテナンスをしておくと何年も演奏できる楽器なので、長いスパンで考えてのご購入になると思います。

デメリットはそれなりにかかる楽器代

メリットだけをお伝えするとさらに迷われる親御さんもいらっしゃるかと思うので、デメリット(そこまでマイナスな意味はありません…)もあげておこうと思います。

 

バイオリンの場合は、身長に合わせてサイズアップするので幼少期から始めて高校生くらいまで、4~5回の買い替えが必要になるので、大人のサイズになると子供のころの楽器が5台6台と押し入れに眠る…なんてこともよくあります。

 

使わない楽器は寄付したり出品したりもできるのでその頃に考えてください。 

 

ピアノはアップライトピアノを準備する金額が高額になるとはいえ、音楽系の習い事で一番多いのがピアノです。

 

ピアノを習うほとんどがアップライトピアノ、もしくは電子ピアノを準備しています。

 

高額ですがお子様の教育に必要な経費と考えて音楽のある毎日をこれから過ごしていただきたいです。

音高・音大受験を考えるなら両方必要

子供が違う楽器を同時に習うのはとても大変ですが、将来的に音楽高校や音楽大学に進学をお考えの方は、2つ習っておくようにしてください。実技試験として、第1実技、第2実技と2つの楽器で受験することになります。

 

もし、お子さんが「バイオリンもピアノも大好きで、絶対両方習いたい」と言うなら、まずはどちらでも構いませんので、1つに絞って習い始めてほしいと思います。

 

1~2年ほど1つの楽器でスタートして、音楽的な感覚や音符などを習得してから2つ目の楽器を習い始めても遅くはありません。

 

音符やリズムはバイオリンもピアノも共通しているので、2つ習い始めたころにはそれぞれの楽器の特徴を理解されて、演奏に相乗効果がみられるはずです。

両方習うメリットは?

私のバイオリン教室に通う生徒の中で、ピアノも習っている生徒は5人に1人くらいの割合でいます。

 

ピアノも習っている生徒は和音の調整の理解が早く、和声感覚も身についている方が非常に多い印象です。

 

実際のレッスンで生徒がバイオリンを弾いて私がピアノで伴奏をつけて練習すると、アンサンブルの感覚が優れていると感じます。

 

少し専門的な話になりますが、バイオリンの楽譜はト音記号の1段譜面ですが、ピアノはト音記号とヘ音記号の2段譜面を演奏しています。

 

要は、ピアノは両手で演奏するので、右手用の楽譜と左手用の楽譜を一度に見て2つ処理をするので処理能力が高まります。

 

両方習っていると1つより楽譜がスラスラ読めたり、楽譜への理解度が高まります。こう書くと、「バイオリンだけ、ピアノだけでは楽譜がスラスラ読めないのか」と思われそうですが、決してそうではありません。

 

私は幼少期からバイオリンだけを習ってきましたが楽譜はスラスラ読めますし、読めなくて困ったことは一度もありません。

 

バイオリン専攻の大学卒ですので副科としてピアノも習った時期もありましたが、受験期対策として一時的に2つの楽器を同時に習った経験がある、という程度です。

 

バイオリン専攻の私がピアノを第2実技として練習をやっていて役立ったことはあるか、とたずねられたら「かなり役にたった」とお答えします。

 

音楽大学という専門性の高い学校に進学したこともありますし、現在バイオリンの講師として名の知れた音楽教室に採用されたり、個人教室を運営したりしていることに繋がっているからです。

 

お子様が、将来どの道に進むかによって理由はすべて後付けになってしまいますが、選択肢のひとつとして『2つ習う』ということを心にとめおかれても良いでしょう。